
TOPICS
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・ほうとう不動ができるまで
・保育園、幼稚園の設計
・DAYLIGHT HOUSEができるまで
BLOG
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「ほうとう不動」ができるまで
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「ほうどう不動」は、山梨県富士河口湖町のほうとう屋さんです。ほうとうは、山梨の郷土料理で、ほうとう不動は河口湖ですでに3つの店舗をもつ老舗です。北本店を中心として、重厚な古民家建築様式による店舗で、店舗、味ともに不動の人気を博している有名店です。そのような状況において、ほうとう不動の社長から「保坂君、和風でね!」と、ご依頼を頂きました。
敷地調査
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2008年冬、敷地と周辺環境について調査を行ないました。敷地の中から見て、敷地の広さ、立地、近景、遠景などについて実際にそこに立って感じるところから始めます。また、敷地の外から敷地を見てみたり、車に乗って通り過ぎる立場になって敷地を見てみたり、もう少し敷地から離れて、この地域の雰囲気を把握したりといったことをしました。

既存3店舗の視察、調査
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社長をはじめ、社員の皆様から、まず既存の3店舗をそれぞれご案内頂き、厨房設備、調理方法、スタッフ動線、システム等々について丁寧にご説明を頂きながら、ほうとう不動の店というものについて勉強させて頂くところからスタートしました。

基本設計
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「保坂君、和風でね!」とご依頼されたことは、ほんの一部でありますが、その他社長のお考えや思いを託して頂き、また社員さんから教えて頂いたことも踏まえ、一つ一つ案を考えはじめました。
和風についての考察
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和風とは、当たり前のことですが、過去のものです。私は当初、和風というお題を頂いた時から、過去の和風建築や和風の文化を参照したり想像するというアプローチをとりました。そこから考えつくことは、切妻屋根、木格子、瓦屋根、水車、障子、もこし、下見板張りなどを現代的なディテールでつくりかえるという方法でした。まず、その考えから案をいくつか作りました。
新しい和風の発見「富士山に浮かぶ雲のような、富士山との関係」
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過去の和風を参照し、現代的なディテールに翻訳するという考え方は、その考え方自体が既存の方法であることに気付きました。そして、過去を参照するというやり方ではなく、むしろ未来を参照するというイメージで和風を構想できないかと考えました。たとえば、50年後の和風!といったイメージです。そんな時、富士山に浮かぶ雲がふわりと降りて来たような形の建築をスケッチで描きました。

スケッチを社長に見せてみた!
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私は、おそるおそるスケッチを社長に見せて、説明をしました。「和風でね!」とご依頼されていたイメージからは、一見かけはなれた案に見えることは確かで、もし理解をして頂けなければ断られるかもしれないと思っていました。
すると社長は「いいじゃん、それでいこう。」と、さらりと言ってくださいました。このイメージを見て、さらりと「これで行こう!」という社長は、本当にすごい方だと改めて思いました。
サン・アド小島さんによるロゴ
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サイン計画やロゴイメージなどにおいても、この建築や風景に調和する素晴らしい案を考えられたら良いに違いないと思い、サン・アドの小島さんにサイン計画やロゴ、鍋敷きのデザインなど総合的に協力して頂きました。

構造をアラップ与那嶺さんに相談
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3次曲面の構造というプロジェクトをお願いする構造設計者として、アラップの与那嶺さんに相談しました。
模型のスタディ、プレゼンテーション模型の作成
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3次曲面の模型を作成するにあたり、様々な方法でスタディを行ないました。様々な方法で試した結果、スタディ模型の作り方としては、100mmピッチで断面をプリントアウトして、コンタ状にして型の元を作成し、その表面を調整し、滑らかな型を作り、その型に合わせて熱で溶かした樹脂を流すという方法です。この方法で、小さな模型をたくさん作ってラフな検討を行なってから、プレゼンテーション用の大きな模型を作成しました。

第1回プレゼンテーション
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約1ヶ月前に、スケッチにより案をお伝えしてありましたが、社長はプレゼンテーションの模型を見て、たいへん驚かれました。スケッチでイメージを見るのと、実際にちゃんとした大きな模型で見るのとでは、インパクトが随分違うようでした。社長は30分で、「よし、これで行こう!」と言って下さり、基本設計はこれにて終了!し、実施設計がスタートすることになりました。

実施設計スタート「3次曲面のデータのモデリング 」
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ほうとう不動の3次曲面は、1枚のシェルが2枚に分かれたり、2枚のシェルが1枚に合わさっていく原理によって出来ているために、モデリングデータの作成にはたいへん苦労をしました。約1万個の点の数を数値入力により管理していた時期もあり、その頃は操作した点を忘れてしまわないように作業を中段できない日々が続き、食事をする時間もまともに取れない程集中してデータの調整を繰り返し行ないました。

構造解析
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作成したデータをアラップに送り、アラップで構造解析を行い修正されたデータが送られて来ます。そのデータをまたこちらで微調整をし、またアラップに送る。その繰り返しを何度も行ないました。

環境解析
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ほうとう不動の最大の特徴の一つは、夏クーラーがないことです。春、夏、秋はエアコンなしで、自然通風のみとし、オープンエアーでほうとうを食べます。そのために、モデリングデータをアラップの環境担当の松本さんにシミュレーションして頂きました。夏のもっとも暑い日、冬のもっとも寒い日を想定し、外気温度、室内からの発熱、躯体の蓄熱量や射熱性能、断熱材の厚さ、お客さんの服装、ほうとうを食べた際の人間の発熱量など、詳細にパラメーターを設定し、温熱環境シミュレーションを行いました。冬以外は空調なしの建築を実現し、自然の空気の心地よさの中でほうとうを食べるすばらしい建築となりました。

光の解析
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ほうとう不動では、日中は自然光だけでほうとうを食べることができるよう、光のシミュレーションも行なっています。窓を大きくすると、光は十分に入って明るくなる反面、夏熱を取り込み過ぎて室内温度が上がるという相反する条件を、程よくどちらも良い性能に落着くよう、窓の大きさや高さなどを調整しています。

非難安全検証
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排煙窓や防煙垂れ壁といったパーツは、この建築空間において意匠的にも安全性においても必要ないため、そのことを法的に証明するために、避難安全検証を行ないました。避難安全検証は、アラップのファイヤー担当の油野さんにお願いしました。
確認申請、大臣認定
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ほうとう不動の構造は、純粋なシェル構造であり、柱、梁といった既存の基準法には乗らないため、大臣認定を取得しています。大臣認定のための提出物の作成は膨大であり、そのために多大な時間と労力をかけております。
モックアップ第1号
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大臣認定の提出では、建築の仕様を詳細に決定する必要があったため、断面の仕様、表面仕上げ等、問題がないかどうか事前に知るために、原寸大のモックアップを作成しました。モックアップ第1号では、施工性、耐候性、仕上げ精度などをチェックすることを目的とし、施工性にともなう施工精度など問題点を把握することができました。

着工、基礎工事
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厳しい施工精度で行なわなければ、3次曲面の鉄筋が矛盾無く組み上がらないため、まず基礎工事では原寸で出力した紙から切り出した合板を定規として墨出しを行いました。

鉄筋工場での、鉄筋ユニット製作、製品検査
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ほうとう不動は、どの箇所で断面を切っても全て異なる形状であるため、20cmピッチで出力した型紙に合わせて、1本1本鉄筋を曲げていくことから作業がスタートしました。その鉄筋を組んで、2mx10m程度の大きさのユニットを作成し、ユニット一つ一つについて製品検査を行いました。

サポートの組み立て
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3次曲面の構成を支えるサポートは、単管をRに曲げたもの、鉄筋をRに曲げたものを組み合わせて、全体をつくっており、各ポイントで高さを管理してセットしました。

建て方、鉄筋ユニットの吊り込み
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鉄筋ユニットの位置、角度を十分に確認しながら一つ一つ設置し、隣どうしを溶接により固定し、次々と全体像が見えてくる、たいへん感動的な光景でした。

コンクリート打設
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鉄筋コンクリートシェルの厚みが、基本的に100mmであり、鉄筋が込み入っている箇所や、形状、勾配が様々な箇所があり、コンクリート打設は、たいへん困難が予想されたため、時間と人数をかけて慎重に行なわれました。

外部ウレタン断熱
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温熱環境解析の結果、ウレタン断熱を60mm吹き付ける仕様となり、厚さを管理し、表面の凹凸のムラを極力少なくするよう施工を行ないました。

外部GRC仕上げ
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ガラス繊維入り強化セメントコンクリートを現場左官により、ウレタンの表面に仕上げるというものです。表面の滑らかさを達成するために、表面全体約1000m2をペーパーヤスリによりしごいて頂きました。

内部、左官仕上げ
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1枚のシェルが2枚に分かれる起線となる部分は、限りなくスペースが無いため、作業は困難を極めました。左官職人さんは、「こんな建築に携わる機会は、一生に一度だから」と言って下さり、困難な作業を終始楽しんでやってくれました。

曲面アクリル、スチールサッシ
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アクリルの曲率は、それぞれの開口部で微妙に異なります。それらの曲率の平均値で木型を製作し、1つの木型で複数の異なる曲率の曲面アクリルを作成しています。アクリルは比較的やわらかいので、微妙な曲率の違いであれば、強制曲げにより十分設置可能であることに着眼した方法です。Rのスチールサッシは、動きに支障が起きることが最も怖いので、電車の車輪の手法と同様、片乗せ式の車輪とし、それを交互に配置することで、季節や経年による変形が起きても、問題なく動くように計画しました。

照明器具、セラメタランプ
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ほうとう不動は、夏クーラーが無いため、自然通風を必要とし、空間的にもRCシェルが大地にふわりとかかっただけのような、開放的な建築を目指しているため、アミドがありません。夜間アミドがない状態で営業をするために、照明計画としては最低限の照度に抑えることと、虫が明るさを感じにくい周波数の照明を選び、かつ光源が屋外からは見えない位置に設置しました。このようにしてつくられておりますので、夏の夜のほうとう不動は、飲食店でありながら窓を開け放った状態で、壮快でおおらなな環境を感じることができます。

完成
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このようにして、2009年12月に建築が完成しました。2010年1月からお店がオープンしました。

河口湖の新しいランドマークとして
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中央道から来ても、東名から来ても、東恋路の交差点を通過して、河口湖へと向かうため、いわば河口湖の新しい玄関のような位置付けとなって、多くの観光客が訪れる場所となりました。富士山をバックに記念写真を撮っていかれる方も多く、河口湖の新しいランドマークとして親しんで頂いております。

風景を大切に考える店舗として
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ほうとう不動は、店舗でありながら道路向けて大きな看板とせず、ささやかな看板計画としています。また2面道路に対して、低木の植栽ゾーンを大きくとり、緑豊かな外構計画とし、幹線道路沿いのよくある飲食店とはまったく趣の異なる配置計画としています。建物と富士山が調和する風景をつくることを大切にし、その配慮からメインの風景から若干外した位置に駐車場を計画しました。
最後までお読み頂き、有り難うございます。
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「ほうとう不動ができるまで」をご覧頂き有り難うございます。内容は、コンパクトに概略のみとしましたが、それでも建築ができ上がるまでには膨大な労力がかかります。そのプロセスは紆余曲折がありながらも、最初の基本設計のイメージを現実のものとして実現していく作業であるわけれすが、そのプロセスのダイナミズムを少しでも感じて頂けましたら幸いです。